そして、そんな電話から
2時間ほど経った頃・・・


「おいっ、希
電話!」


黒崎伸治が不機嫌そうな様子で
私に携帯を差し出している。


「え?あ、はい」


頭がはっきりしないまま
電話に出ると



「あー良かった、出た」


「お兄ちゃん?」


「希、今どこ?」


「今?家だけど・・・」


「どっか近くに車屋とかない?」


「は・・・?車屋?」


「俺の車、高速出た直後に停まってエンジンかかんなくなったんだよ。」


「停ま・・・大丈夫?」


「いや、別にちょうど路肩に寄せたから
それはいいんだけど
さすがに、ここら辺地元じゃないし
道もよく分かんないし
車屋が見当たらないしで・・・
だから、どっか知ってるとこ教えてほしいんだけど」


車屋さん・・・・

ど、どうしよう。


起きた直後で
どこら辺に車屋さんがあったのか
思い出せない・・・。


思わず、黒崎伸治の方を見ると


「何だよ?」


「その、車屋さん・・」


黒崎伸治なら車に乗ってるし
知ってるかもしれない。


「は?車屋?」


「エンジン停まっちゃったって・・・」


「あーそういう事か。
電話、貸せ」


そう言うと、
私の手から携帯を取った。