「・・やっぱ、希がいいや」


そう呟くように言うと

私の体を引き寄せたまま

寝息が聞こえ始めた。


何か・・・何か

今・・・すごくうれしい事言われたような気がするんだけど・・・



聞き返す暇もなく
眠りについてしまった黒崎伸治を
起こす事なんてできるはずもなく


私は・・・当たり前だけど

目が冴えてしまい
それから、眠れる事はないまま

朝を迎えてしまった。



できる事なら、

ずっと、このままでいたいけれど・・・



けれど・・・


机の上で

さっきから、ひっきりなしに光っている携帯を無視し続けるなんて

私にはできず・・・



黒崎伸治の頬を
触りながら


「携帯鳴ってる・・・・」


そう言うと


「あぁ・・・・」


頬を触る私の手を掴み

首の後に回し


私の顔を胸に押し付けるように
抱きしめると


そのまま・・・・


時間だけが無意味に過ぎていく。