玄関には

本当、無垢という言葉が似合いそうな

白い肌に、ふわふわした黒い髪
そして、
何の疑いもなく、


「わ、私なら大丈夫なので
出て行かないで下さい!」


そう私に言う姿は

黒崎伸治には、もったいないほど

純粋な目をしている。


「いえ、私 これから
彼氏の家に行く約束してるので
気にしないで下さい。
私こそ、お邪魔して
ごめんなさい。
それじゃ・・・さよなら」



あんな、可愛くて
良い子相手に

私が敵うはずない・・・。



悲しいんだか、悔しいんだか

よく分からないけれど、


自分が、黒崎伸治を

すごく好きになってたという事だけは

苦しいほど分かっていて


必死で、声を押し殺しながら


住宅街を


泣きながら歩いた。