俺の戸惑った気持ちに気付いた内山先生は、しゃがんでいる俺のそばに、静かに腰を下ろした。
――真っ暗な、救急救命センターの窓口。
胸の奥がザワザワする。
今からここに、さっきの電話で言ってたヤツが運び込まれてくるなんて――。
「……ケーゴ」
何でか分からないけど。
――怖い…。
震えが止まらない。
弱いな、俺……。
「……先生は、早く外で待っとけよ。今…から、患者が来るんだろ……っ?」
「…おい、ケーゴ――」
「俺はレントゲン室行くからっ……!早く行けよ!」
何かを言いかけた先生。
俺はその先生を、強く突き放した。
――わがままな、俺の性格。
素直じゃない、俺の大嫌いな性格。

