「…」 だって。 あの…あの人に、会うためにだったから。 「……ルイちゃん……」 「…っ」 「……“藤堂圭伍”って……覚えてるかな?」 あたしに生きる力をくれた。 名前を聞いただけなのに、あたしが“生きたい”って思えた。 “圭伍くん”――。 「…」 「あれ…。覚えてなかった?」 違う。 覚えてるよ 鮮明に。 久しぶりに聞いて、何か…何か、変な感じで。 「お…覚えてるよっ、もちろん…」 「それは良かった」 「……でっ、その“圭伍くん”が、何?」