でも、先輩が飛ばしてくれたおかげで、5分もかからないで学校に着けた。


 あと数分で授業始まるけど、走れば余裕!


 先輩に感謝だねっ。


「先輩っ! ありがとーございましたっ」


 ほんとに先輩のおかげで助かったよ~。


 でも。


「送ってくれてありがとでした! でも、これからは、私には関わらないでくださいね~!! それじゃあ、さよならっ」


 言うなり荷台から飛び降りた。


 かなり失礼だけど、私だってまだ命は惜しいもんね!


 女子の嫉妬はこわいんだよっ。


「は!? あ、てめ、逃げんじゃねえぞコラアァァァァ!!」


 なんて、中原先輩の怒声が聞こえた。


 だけど、すでに全速力で走ってた私に、気づけるわけがなかったんだ。


「……逃すと思うなよ? あんの気まぐれ猫が」


 なんて、ニヒルな笑みを浮かべた中原先輩が、こんな不吉な言葉を呟いていたことになんて。