そ、そうなんだ。
サエさん、あの時あそこにいたんだ。
でも、なんで佐伯先輩はサエさんの話を聞く気になったのかな……。
そもそも、3年生は学校休みだったわけだし、いつ会っていたの?
それに、なんでサエさんがそこまでしてくれるのかわからない。
「俺と藤村、早々に大学決まってさ。慶のところで働くのだけは絶対嫌だったから、違うバイト先探して。そこに、藤村がいたんだ。それからしつこく話聞けって言われて。宮下さんにひどいことしたから、これは自分の役目だって。それに、藤村のヤツ、宮下さんが……っ」
佐伯先輩はそう言って、私の肩をぐいっとつかんで引き離した。
さっきまで感じていた佐伯先輩の温度が離れて行って、寂しくなる。
だけど、肩に置かれた佐伯先輩の手が暖かくて、今起こっていることは幻想なんかじゃないって思わせてくれた。
「私が、なんですか……?」
佐伯先輩が言いかけたこと、すごく気になる。
私はまた、何かしでかしたんだろうか。
不安になって次の言葉をじっと待っていた。
だけど、佐伯先輩が言った言葉は、私の想像をはるかに超えるものだった。
「……宮下さんが、さらに可愛くなったって。誰が言ってんだか知らないけど、そんなの聞かされて、とられるかと思ったんだよ……っ」
今まで見たことのない焦った表情でまくしたてた佐伯先輩に、目が点になった。
……私がとられる?
……誰に?



