たくさん聞きたいことが浮かんでくるけど、言葉に出せない。
だってこれは、本当に現実なのかな。
信じられない。
佐伯先輩は私を抱きしめたまま、静かに話し始めた。
「まず、謝らせて。あの日から今日までずっと、ひどい態度とっててごめん。アドレス変えたことも、着拒にしたことも、本当にごめん。……慶と宮下さんが付き合ってるって、いつからそんな関係だったんだって、すごく腹が立った。だから、あんなことした。ひどいことも言った。ごめん」
言ってることの半分も理解できてないけど、頭をぶんぶん振って否定した。
だって、佐伯先輩が謝ることなんて、何もないよ。
「……全部、聞いたよ。俺の誤解だったってことも。抜け駆けした慶は許せないけど、でも、ちゃんと全部わかったから」
うそ、本当に……?
誤解だったって、わかってもらえたってこと?
「……っ、聞いたって、慶ちゃん先輩に、ですか」
そう聞くと、佐伯先輩は忌々しげに舌打ちをした。
「あいつから聞くわけないだろ。まだあれから一言も話してないんだから。……藤村に、聞いたんだよ」
「さ、サエさん?」
意外な人の名前が出てきてびっくりした。
なんでそこでサエさんが出てくるの……?
「あいつ、慶と宮下さんの会話、聞いてたみたい。慶が告白したことも、やましいことが何もなかったことも、あの日のこと全部教えてくれた」



