体育館12:25~私のみる景色~


「どうして……っ」


 私の質問は、最後まで声にならなかった。


 声に出すことができなかった。


 一歩ずつ近づいてきた佐伯先輩に抱きしめられた、そのせいで。


 わけがわからなくて、パニックになる。


 なんで、こんな、夢みたいなことが起こっているの……?


 私の背中に回っている佐伯先輩のたくましい腕。


 ドキドキと高鳴る心臓。


 どうしたらいいのか、わからない……。


「……ほんと、今更なんだけど。俺、宮下さんにどうしても言いたいこと、ある」


 そう言う佐伯先輩は、少し呼吸を乱していることに気が付いた。


 言いたいことって、なに?


 それより怒ってたんじゃないの?


 嫌われちゃったんじゃなかったの?


 私はフラれたはずでしょ……?