「どうして……っ」
私の質問は、最後まで声にならなかった。
声に出すことができなかった。
一歩ずつ近づいてきた佐伯先輩に抱きしめられた、そのせいで。
わけがわからなくて、パニックになる。
なんで、こんな、夢みたいなことが起こっているの……?
私の背中に回っている佐伯先輩のたくましい腕。
ドキドキと高鳴る心臓。
どうしたらいいのか、わからない……。
「……ほんと、今更なんだけど。俺、宮下さんにどうしても言いたいこと、ある」
そう言う佐伯先輩は、少し呼吸を乱していることに気が付いた。
言いたいことって、なに?
それより怒ってたんじゃないの?
嫌われちゃったんじゃなかったの?
私はフラれたはずでしょ……?



