柵を握った手の甲に、涙がぽたぽたと落ちていく。
視界がぼやけて見える。
いろんな思い出が頭をよぎって、様々な表情を見せてくれるようになった佐伯先輩の顔を思い出して。
止まることを知らない涙は、どんどん流れ続ける。
好きでした、大好きでした。
……今も、とっても大好きです。
「……佐伯先輩っ」
その時、後ろからキュッと靴の鳴る音がした。
空耳かと思った。
だって、次に聞こえてきたのは、ここにいるはずのない人の声。
私の、大好きな人の声。
「やっと、見つけた……」
びっくりして、そのまま振り返った。
幻聴かと思ったけど、そうじゃない。
私の都合のいい夢かと思ったけど、それも違う。
目の前に立っているのは、まぎれもなく佐伯先輩。
ついさっき、会いたいと願ったホンモノの佐伯先輩だった。



