廊下をゆっくりと歩く。
いつもはここを、全力疾走していたんだよね。
お昼休み、ありえない速度でご飯をかきこんで。
食べた後すぐに走るとわき腹が痛くなるし気持ち悪くなったけど、無理をしてでも佐伯先輩を見たかったんだよね。
そんな私を、呆れたように、だけど優しく、凉たちは見守ってくれていた。
佐伯先輩が泣いていたあの雨の日から、もう1年9か月が経った。
そして、佐伯先輩に恋をしてから、1年9か月。
長いようで、短い時間だった。
プレーをする姿に一目ぼれしたあの日から私の気持ちは色あせることなく、今も色づくばかりだ。
ギャラリーへと続く階段の前について、上を見上げた。
薄汚れたそこをまじまじと見るのは初めてだった。
ここを毎日のように、駆けあがっていたんだね。
一段一段を踏みしめるようにして、上っていく。
上りきると、見慣れた景色がそこに広がった。
だけどここにくるのはひどく懐かしいような気持ちにもなった。
不思議な感じ。



