教室には、私と凉以外誰もいなくなった。
みんながそれぞれ先輩のもとへ出はらっていて、ありえないくらいに静か。
遠くからは微かに話し声が聞こえてくる。
きっと3年生の教室は盛り上がっているんだろうな。
……佐伯先輩は、もう帰ったのかな。
それとも、たくさんの女の子たちに囲まれてる?
第2ボタンは、誰の手に渡ったんだろう。
今日この学校の中で、結ばれる恋はいくつあるのかな。
きっとこれから告白する人だっているはずだから。
私みたいな気持ちで今日を迎えた人は、何人いるんだろう……。
時計の針は、12時ちょうどを指していた。
……そろそろ、時間かな。
「凉、私、行ってくるね」
そう言って立ち上がると、凉はじっと私を見つめた。
「……いってらっしゃい」
「うん、行ってきます」
ぎゅっと抱きしめてくれた凉の腕をそっとほどいて、歩き出した。
始まりの、場所へ―――……。



