壁に飾られた紅白幕。
ステージに掲げられた、『卒業証書授与式』の文字。
並ぶ来賓の方、生徒の保護者、スーツや着物を身に着けた先生たち。
本当に卒業しちゃうんだってことが、改めてわかった。
「亜希、大丈夫……?」
「え……?」
すると凉は私目元に優しく触れた。
「泣いてるよ、亜希……」
そう言われて初めて気が付いた。
自分が泣いていることに。
ごしごしと拭って、心配かけないように凉に微笑みかけた。
「大丈夫だよ。私、強くなったからね!」
「……そうだね。それに、最近さらに可愛くなったよ。いろいろ頑張ってたもんね? その髪も、似合ってる」
凉はそう言って、肩につかないほど短くなった私の髪を、さらりとなでた。
そう、胸辺りまで伸びていた髪を昨日切った。
今日この日を新たな気持ちで迎え入れて、一歩踏み出すために。



