体育館12:25~私のみる景色~


 壁に飾られた紅白幕。


 ステージに掲げられた、『卒業証書授与式』の文字。


 並ぶ来賓の方、生徒の保護者、スーツや着物を身に着けた先生たち。


 本当に卒業しちゃうんだってことが、改めてわかった。


「亜希、大丈夫……?」


「え……?」


 すると凉は私目元に優しく触れた。


「泣いてるよ、亜希……」


 そう言われて初めて気が付いた。


 自分が泣いていることに。


 ごしごしと拭って、心配かけないように凉に微笑みかけた。


「大丈夫だよ。私、強くなったからね!」


「……そうだね。それに、最近さらに可愛くなったよ。いろいろ頑張ってたもんね? その髪も、似合ってる」


 凉はそう言って、肩につかないほど短くなった私の髪を、さらりとなでた。


 そう、胸辺りまで伸びていた髪を昨日切った。


 今日この日を新たな気持ちで迎え入れて、一歩踏み出すために。