佐伯先輩に恋をしてから今日までの時間、すごくあっという間に過ぎ去った気がする。
今までの自分ではありえない、体育祭のリーダーなんかもしてみたりして。
たくさん泣いたけど、たくさん笑った。
短い時間の間に、思い出がぎゅっと詰め込まれている。
「今日、晴れてよかったね」
「……うん、そうだね」
隣りにいる凉が、白い息を吐き出しながら静かにそう言った。
壁のはるか高いところにある窓からは、柔らかい光が降り注いでいる。
今日、3月4日。
先輩たちの、卒業式……。
本当に、晴れてよかったなあ。
昨日まで土砂降りだったから安心した。
雨は、佐伯先輩が泣いていた時のことを思い出させるから……。
式が行われるのは、いつも佐伯先輩がバスケをしていた南体育館でなく北体育館の方。
そこに私たち在校生は既にきちんと座り、3年生が入場してくるのを待っている。



