体育館12:25~私のみる景色~


「じゃあ、亜希。そろそろ帰るね? ほら、七種も……」


「……ちょっと話あるから。2人にしてもらえるか?」


 真面目な顔で凉にそう言ったみーくん。


 それに何かに気づいたように、凉は黒い目を細めた。


「……七種、亜希に手を出したら覚悟しとけ」


 純子も、そんなふうにみーくんに言った。


「はいは~い、それじゃあ千夏たちはお先に失礼するよぉ。亜希、また新学期にねえ~」


 何がなんだかわからないうちに、千夏は鋭い目でみーくんを睨む2人の腕を引っ張り、嵐のように部屋を出て行った。

 
 途端に静かになった私の部屋に、みーくんの息をつく音が聞こえてきた。


 話って、なんだろう?


「……前にさ、中原センパイの花屋に行ったこと、覚えてる?」


 覚えてるよ。


 忘れるはずないよ。


 佐伯先輩に結びつくものすべて、鮮明に思い出せる。


 部屋の窓辺に飾ってある、あの時もらった赤いゼラニウムに目を移した。


 今はもう葉だけになっていて少し寂しいけど、元気に育っている。


 みーくんも、同じように鉢植えに視線をやった。