「じゃあ、亜希。そろそろ帰るね? ほら、七種も……」
「……ちょっと話あるから。2人にしてもらえるか?」
真面目な顔で凉にそう言ったみーくん。
それに何かに気づいたように、凉は黒い目を細めた。
「……七種、亜希に手を出したら覚悟しとけ」
純子も、そんなふうにみーくんに言った。
「はいは~い、それじゃあ千夏たちはお先に失礼するよぉ。亜希、また新学期にねえ~」
何がなんだかわからないうちに、千夏は鋭い目でみーくんを睨む2人の腕を引っ張り、嵐のように部屋を出て行った。
途端に静かになった私の部屋に、みーくんの息をつく音が聞こえてきた。
話って、なんだろう?
「……前にさ、中原センパイの花屋に行ったこと、覚えてる?」
覚えてるよ。
忘れるはずないよ。
佐伯先輩に結びつくものすべて、鮮明に思い出せる。
部屋の窓辺に飾ってある、あの時もらった赤いゼラニウムに目を移した。
今はもう葉だけになっていて少し寂しいけど、元気に育っている。
みーくんも、同じように鉢植えに視線をやった。



