『意味わからないんだけど。それが何? そんな嘘話す暇あるんだったら、慶にでも電話してやれば? つーか、勉強の邪魔だから』
「……っ!」
氷の刃のような、鋭い声だった。
我慢してた嗚咽が、鼻をすする音が、部屋にこだました。
『っ宮下さん……?』
なんで、なんで先輩は、そんな戸惑うような声を出しているの?
告白を、“嘘”だって。
私の気持ちを否定したのに。
なんで、そんなにうろたえているの?
……そっか、佐伯先輩からしたら今の状況って、『親友と付き合ってるくせに告白してくる軽い女』って感じだよね。
でも、わからないよ。
佐伯先輩のこと、なんにもわからないんだよ。
「な、んで……」
頭の中に『なんで』っていう疑問がループする。
ぐるぐる回って、おかしくなりそうだった。
『……もう、疲れた。宮下さんのこと、わからない。どうせ女ってみんなそうだよな。……もう、アドレスも消すから』
そんな非情な声が聞こえた後、電話が切れたことを知らせる無機質な音。
それは、私の恋が本当に終わりを告げたかのようで、耳にまとわりついて離れなかった。



