「好き、です……」
涙とともに、自然と口から滑り出した言葉。
私がずっと、言いたかったこと。
傍に行きたくて、近づきたくて、もっと先輩のことを知りたくて。
その根底にあるのはいつだって、佐伯先輩を好きだっていうたった一つの恋心だった。
ついに、言ってしまった。
きっと佐伯先輩にも聞こえただろう。
これでもう、元に戻れなくなったことも、なんとなくだけどわかってる。
でも、大丈夫だよ。
佐伯先輩をただ遠く、ギャラリーの上から見ているだけだった頃に戻るだけ。
迷惑は、これ以上かけません。
だからこれは、佐伯先輩にかける、最後の迷惑だから。
……許してください。
耳に当てたケータイ電話の向こうからは、何も聞こえてはこない。
でも、私の声を佐伯先輩はきっと聞いてくれてるっていう確信があった。
「先輩、私は……」
続けて話そうとした瞬間、私の声は佐伯先輩の声と重なった。
……佐伯先輩の、冷たくて怒りを含んだ声に。



