そんなことを思えば思うほど落ち込んで、ショックがよみがえって、苦しくなる。
たくさん助けてもらったのに、ありがとうの一言も言えないなんて。
凉からも『ちゃんと佐伯先輩と話せた?』ってメールが入っていた。
今日のことを話して慰めてもらいたいけど、こんな事態になったなんて自分の口からは言えそうにない。
ましてやお礼を言うどころか間接的にフラれたなんて、慶ちゃん先輩と付き合ってるって誤解されたなんて、言えないよ……。
ぼろぼろととめどなく涙がこぼれて、枕は濡れていく。
電気もついていない静かな部屋に響くのは、私のすすり泣く声だけ。
……メール、してみようか、佐伯先輩に。
それとも、電話?
泣いているだけじゃ何も変わらないことは、もうわかってる。
誤解も、佐伯先輩にどう思われているのかも、今は考えない。
助けてもらったことのお礼だけは、絶対に言いたかった。
勇気を出して、佐伯先輩の番号を呼び出す。
電話をかけるのにここまで勇気を振り絞ったのは初めてで、手に変な汗をかくけど。
涙をぬぐってから、震える親指に力を込めて発信ボタンを押した。
ケータイをそっと耳に押し当てると聞こえてくる、呼び出し音。
その音に、心臓がバクバクと鳴る。
出てくれるのかな……。
数回のコール音が続くけど、それが途切れる気配はない。
やっぱり出てくれるわけないか……。
じわりと涙が浮かんで、電話を切ろうかと思った7回目のコール音。
その音がふいに途切れた。



