あの後、どうやって帰ってきたのかわからない。
気づいたら部屋にいて、数時間前にきていたメールを見ていた。
『用事終わったよ。どこにいる?』
そんな、佐伯先輩からのメール。
何の変哲もないそのメールを繰り返し読んでは、ひたすら落ち込む。
なんでメールにすぐに気づかなかったのか。
そもそも佐伯先輩の用事が終わってから慶ちゃん先輩に会うべきだった。
もしも、佐伯先輩に先に会っていたら、こんなことにはならなかったのかな。
……なんて、違うよね。
過ぎたことを後悔したって何も変わらないし、気持ちを伝えてくれた慶ちゃん先輩にも失礼すぎる。
でも、どっちにしたって佐伯先輩の中の私の存在が、“どうでもいいこと”に分類されてる事実は変わらないんだから……。
『俺には関係ないし、どうでもいいけど』
そう言った佐伯先輩の顔を思い出しては、涙がこみ上げる。
あはは、告白する前に失恋とか、笑えないよね。
結局、佐伯先輩にお礼も言えずじまいだったし。
それから、サエさんの嫌がらせが止んだことも聞きたいと思っていた。
少し前に、靴箱の中に『今までごめんなさい』という、女らしいきれいな手書き文字の手紙が入っていて。
差出人の名前はなかったけど、サエさんからだってすぐにわかった。
みーくんが病院で言った佐伯先輩が手を回すっていう言葉。
佐伯先輩がサエさんに何か働きかけて嫌がらせを止めさせてくれたってことで、間違いないはず。



