体育館12:25~私のみる景色~


「あーくそっ。俺のせいだな……。亜希、何とかするから心配すんな」


 今にも泣きだしそうな私にそう言い、慶ちゃん先輩は慌てた様子で佐伯先輩を追いかけて行った。


 きっと、私や慶ちゃん先輩が何か言ったところで信じてくれないだろうな。


 それに、佐伯先輩は私のことを“どうでもいい”って思っているんだから。


 誤解を解いたところで何が変わるってわけじゃないよ……。


 佐伯先輩に好かれていなくとも、嫌われてはないんだって前向きに考えてきたけど、『嫌い』よりもっと苦しかった『無関心』ととれるあの言葉。


 調子に乗った自分がバカみたい。


 それに、慶ちゃん先輩にはひどいことをしてしまった。


 悪いのは慶ちゃん先輩じゃないのに。


 誰も悪くなんかないのにね。


 私が勝手に佐伯先輩を好きなだけで、ただ、それだけで……。


 残されたのは私一人。


 がくがくと震えていた脚はもう限界で。


「佐伯、先輩っ……」


 佐伯先輩を追いかけることもできなかった私は一人、崩れ落ちて泣くことしかできなかった。