その時、慶ちゃん先輩の腕が伸びてきて、私はそのまま強く抱きしめられた。
「……っ! 慶ちゃん先輩!?」
慶ちゃん先輩の手が震えているのがわかる。
力強いのに、壊れ物を扱うかのような優しさも感じた。
まるで、好きな人にする抱擁のような……。
慶ちゃん先輩が私のことを可愛がってくれてるのは、わかってる。
私も慶ちゃん先輩が好きだし、いい友達だと思ってる。
だけど、この抱きしめ方は、明らかに友達にするような行為じゃない。
なんで、私は抱きしめられているの?
「慶ちゃ……っ、離してっ?」
「嫌だ」
「な、なんで……」
怒ってたかと思えば抱きしめてきて、弱々しく「嫌だ」と繰り返す。
こんなところ、もし佐伯先輩に見られたりしたらお互いマズイんじゃないのかな?
「もう、ほんとに離してっ? 誤解されたらヤダ……」
だって、慶ちゃん先輩も、佐伯先輩が好きなんでしょ……?



