体育館12:25~私のみる景色~


 その時、慶ちゃん先輩の腕が伸びてきて、私はそのまま強く抱きしめられた。


「……っ! 慶ちゃん先輩!?」


 慶ちゃん先輩の手が震えているのがわかる。


 力強いのに、壊れ物を扱うかのような優しさも感じた。


 まるで、好きな人にする抱擁のような……。


 慶ちゃん先輩が私のことを可愛がってくれてるのは、わかってる。


 私も慶ちゃん先輩が好きだし、いい友達だと思ってる。


 だけど、この抱きしめ方は、明らかに友達にするような行為じゃない。


 なんで、私は抱きしめられているの?


「慶ちゃ……っ、離してっ?」


「嫌だ」


「な、なんで……」


 怒ってたかと思えば抱きしめてきて、弱々しく「嫌だ」と繰り返す。


 こんなところ、もし佐伯先輩に見られたりしたらお互いマズイんじゃないのかな?


「もう、ほんとに離してっ? 誤解されたらヤダ……」


 だって、慶ちゃん先輩も、佐伯先輩が好きなんでしょ……?