そして、彼はさらに声を低くした。
「嘘つくな。恭也から聞いた。お前がこの前まで病院にいたこと、その理由も」
「な、なんで……」
「なんでじゃねえよ。授業なんかめったにさぼらねえ奴が休むし。それに、恭也が藤村シメてるとこ見ちまったんだよ、偶然だったけどな。2人の会話にお前の名前が出たから、問い詰めたんだよ」
慶ちゃん先輩は壁を思いっきり殴りつけた。
その音にびっくりして、肩がすくむ。
なんで、そんなに怒っているの……?
びくびくとする私に一歩ずつ近づいてくる慶ちゃん先輩は、なんだか悲しそうな顔をしているように見えた。
「なあ、亜希。なんで恭也には言えて、俺には言えないんだ? 俺は、そんなに頼りにならなそうな男に見えるか?」
憤りを感じているようにも見えるその姿に、心が痛くなった。
違う、違うんだよ。
きっと何かを誤解してる。
慶ちゃん先輩を頼りにしてないわけじゃないもん。
だって、佐伯先輩にも知られる予定はなかったんだから。
「ち、違うよ……っ」
「じゃあなんで、恭也は知ってたのに俺は何も知らされてないんだ。もし、言ってくれてたらお前を……!」



