行ってきますと声をかけて、階段へと向かう。
そういえば、慶ちゃん先輩と直接会って話すのは久しぶりのような感じがする。
実際は、そこまで久しぶりってわけでもないんだけどね。
そんなことを思いながら階段に着くと、既にそこには慶ちゃん先輩がいた。
「慶ちゃん先輩、お待たせ!」
私がそう言って駆け寄ると、「おう」とぶっきらぼうな返事を返された。
……なんだか、不機嫌?
睨まれてはいないものの声がいつもよりも低かったし、それに雰囲気がいつもと違う?
「どうしたの? なにか用事があったんじゃないの?」
私がそう聞くと、口をへの字に曲げた。
あ、やっぱりご機嫌斜めだ。
どうしたんだろう。
慶ちゃん先輩が話し出すのを静かに待っていると、眉間にしわを寄せて、口を開いた。
「……お前、俺に隠してることねえか?」
ドキリと心臓が音を立てた。
慶ちゃん先輩が言ったことに、心当たりがあるから。
それは、サエさんのこと。
でも、鈍感そうな慶ちゃん先輩が気づくはずないし、きっとカマかけてるんだろう。
というか、それを聞くためにわざわざこんなところに呼び出したの?
「……何もないよ?」
動揺しつつも平然を装って答えると、慶ちゃん先輩はイライラしたように舌打ちをした。



