体育館12:25~私のみる景色~


 行ってきますと声をかけて、階段へと向かう。


 そういえば、慶ちゃん先輩と直接会って話すのは久しぶりのような感じがする。


 実際は、そこまで久しぶりってわけでもないんだけどね。


 そんなことを思いながら階段に着くと、既にそこには慶ちゃん先輩がいた。


「慶ちゃん先輩、お待たせ!」


 私がそう言って駆け寄ると、「おう」とぶっきらぼうな返事を返された。


 ……なんだか、不機嫌?


 睨まれてはいないものの声がいつもよりも低かったし、それに雰囲気がいつもと違う?


「どうしたの? なにか用事があったんじゃないの?」


 私がそう聞くと、口をへの字に曲げた。


 あ、やっぱりご機嫌斜めだ。


 どうしたんだろう。


 慶ちゃん先輩が話し出すのを静かに待っていると、眉間にしわを寄せて、口を開いた。


「……お前、俺に隠してることねえか?」


 ドキリと心臓が音を立てた。


 慶ちゃん先輩が言ったことに、心当たりがあるから。


 それは、サエさんのこと。


 でも、鈍感そうな慶ちゃん先輩が気づくはずないし、きっとカマかけてるんだろう。


 というか、それを聞くためにわざわざこんなところに呼び出したの?


「……何もないよ?」


 動揺しつつも平然を装って答えると、慶ちゃん先輩はイライラしたように舌打ちをした。