流れで佐伯先輩の家まで来てしまったわけだけど、ご両親もいるわけだよね?
いきなり家にお邪魔しちゃって、お家の人に迷惑かからないかな?
それに、佐伯先輩の家って考えただけでも緊張しちゃうんですけど。
アパートの階段を上り、2階の角部屋。
そこが佐伯先輩の住んでいるお部屋のようで。
「入って」
鍵をあけた佐伯先輩に促されて、そこに足を踏み入れた。
佐伯先輩に案内されて部屋に進む。
そこで、ちょっとした違和感。
家族と住んでいるにしては、なんていうか、狭い?
私の目の前には、ワンルームのモノトーンを基調とした“男の子の部屋”が広がっていた。
部屋はフローリングで中央には白くて四角い机。
黒い座椅子、本棚やベッド、テレビ、それから2人がけのちょうどいい大きさの黒いソファー。
明らかに、一人暮らしの人のお部屋って感じの印象を受けた。
佐伯先輩、もしかしてここに一人で暮らしているの……?
「俺、親いないから。あ、適当に座っててくれていいからね」
私の脳内を読み取ったように佐伯先輩はそう言って、暖房をつけたあと、玄関を入ってすぐにあった台所へと消えて行った。
私はかろうじて頷いたけど座ることもできず、今しがた佐伯先輩が言った言葉を繰り返し頭の中で考えていた。



