凉はその返答に頷いた。
「佐伯先輩が何を話そうとしてるのかはなんとなくわかってます。あとであたしも亜希に聞きますけど、それくらいいいですよね?」
「……ああ。どこまで話すかは宮下さんに任せるけど」
私が混乱している間に話はまとまって、凉は理解しきれていない私に手を振ってさっさと帰って行ってしまった。
残されたのは佐伯先輩と私。
期せずして2人きりになったわけだけど、喜べる状況でもないし。
「ここだと学校の奴らに見られるかもしんないから、今から俺んち行こ。帰り、送るし」
「えっ、ちょっと、あの!?」
ろくに返事もしないまま佐伯先輩に半ば強引に腕を引かれ、通りかかったタクシーに2人で乗り込んだ。
佐伯先輩は運転手さんに行先をつげた後、一言もしゃべらなかった。
何か喋るべきなのか、どうしたらいいのか、そんなことをぐるぐると考えて。
私たちの微妙な雰囲気を感じ取ったのか、運転手さんもこちらを気にしつつも口を開かなかった。
「ここ、俺の家」
タクシーを降りて着いたのは、白い壁のオシャレなアパートだった。
佐伯先輩はさっさと料金を払っちゃって、私に一円も払わせてくれなかった。
タクシーって、高いのに。
佐伯先輩が「俺が無理やり連れてきたから」って頑なだったから、申し訳ないけどありがたく払ってもらうことにした。



