体育館12:25~私のみる景色~


 メールを受信すると震えるバイブレーションを、最近は心待ちにしている。


 もしかしたら佐伯先輩かも、って思ってドキドキしながらメールを開いたりして。


 期待が外れてそのメールが慶ちゃん先輩とかだと、がっかりしちゃうんだけど。


 なんて慶ちゃん先輩に言ったら確実に殴られる。


 それに、たまにみーくんからもいたずらメールが届く。


 それは決まって『佐伯先輩だと思った?』って冷やかし交じりのメール。


 私が佐伯先輩とメールしてるって知ってから、そんなのばっかり送ってくる。


 だから、思いがけず佐伯先輩からのメールが来たときには嬉しさが倍増するんだけどね!


 返事、早く来ないかなあー。


「……ねえ、あれ佐伯先輩じゃない?」


「え?」


 凉が指をさす先には、一軒の喫茶店。


 その近くに、確かに佐伯先輩が立っていた。


 だけど、彼は一人じゃなくて、40代後半くらいの女の人と何か話しているみたいだった。


 思わず凉と一緒に立ち止まって、佐伯先輩の方を見つめてしまう。


「なんかもめてるみたいだけど」


 うん、それ思った。


 頷いて同調すると、凉に近くの柱の陰まで引っ張られた。