体育館12:25~私のみる景色~


 ――――――佐伯先輩が流した涙の理由を知ったのは、本当に偶然だった。


 それは、本格的な冬を迎えた、12月のことだった。


「うー、寒い……」


 今日も相変わらず寒い。


 風が凍てつくような冷たさで、コートを着てもマフラーをぐるぐるに巻き付けても、その寒さはしのげない。


「そんなに寒いなら、手袋もすれば~?」


 学校の帰り道、近くのショッピングモールを出たあとに、寒そうにする私に凉は軽くそう言った。


「だめっ! 手袋なんかしたら、メール打ちにくいもん!」


「そんな頻繁にメール来るわけでもないのに。アンタは忠犬か」


「えへへ」


 笑う私に、凉は呆れた顔で息を吐き出した。


 そう、私が手袋をしないのは、メールを打ちやすいようにっていう、ただそれだけの理由。


 遅刻したあの日から、佐伯先輩とたまにメールをするようになった。


 凉が言うように頻繁じゃないけどね。


 だから、いつメールがきてもすぐに返事を送れるように、手袋ははめてないんだ。


 だって、手袋してると文字打ちにくいしっ。


 今は佐伯先輩からの返信待ち中だしね!