――――――佐伯先輩が流した涙の理由を知ったのは、本当に偶然だった。
それは、本格的な冬を迎えた、12月のことだった。
「うー、寒い……」
今日も相変わらず寒い。
風が凍てつくような冷たさで、コートを着てもマフラーをぐるぐるに巻き付けても、その寒さはしのげない。
「そんなに寒いなら、手袋もすれば~?」
学校の帰り道、近くのショッピングモールを出たあとに、寒そうにする私に凉は軽くそう言った。
「だめっ! 手袋なんかしたら、メール打ちにくいもん!」
「そんな頻繁にメール来るわけでもないのに。アンタは忠犬か」
「えへへ」
笑う私に、凉は呆れた顔で息を吐き出した。
そう、私が手袋をしないのは、メールを打ちやすいようにっていう、ただそれだけの理由。
遅刻したあの日から、佐伯先輩とたまにメールをするようになった。
凉が言うように頻繁じゃないけどね。
だから、いつメールがきてもすぐに返事を送れるように、手袋ははめてないんだ。
だって、手袋してると文字打ちにくいしっ。
今は佐伯先輩からの返信待ち中だしね!



