体育館12:25~私のみる景色~


「チャリ乗っけてやろうかと思ったんだけど、俺らとは一緒に学校行かない方がいいんだよな?」


 電車を降りると、慶ちゃん先輩にそう聞かれた。


 送ってもらいたいけど、そんなことして万が一誰かに見られて、それがサエさんの耳に入ったら、今度こそ間違いなく危ないよね。


「あ、うん……」


 ちらりと佐伯先輩の方を見る。


 佐伯先輩にはそういう話するつもりなかったから、ちょっと戸惑った。


 慶ちゃん先輩と違って佐伯先輩は鋭そうだし、サエさんのことを勘付かれたりするのは避けたかったから。


「慶に聞いたから事情は分かってる」


「そ、そうですか。なんだかいろいろすみません……」


 なんだ、慶ちゃん先輩、佐伯先輩に話しちゃったのか。


 でも、それならそれでいいかな。


 深く追及してこないし、理解してくれたんだと思っておく。


 それにしても、こんなに近くにいるのに遠くて、もう少し一緒にいたいのに、そうできないのが悲しい。


 周りの目とか、暗黙のルールとかなくなればいいのに。


「せめて学校くらい一緒に行きたかったなあ……」


 そんな心の声が無意識に口からこぼれた。