「どうしたの?」
「別に何でもねえよ」
私、睨まれるようなことしたかな?
というか、何でもないなら睨まないでほしい。
かっこいい顔立ちしてるから、鋭い目つきだとさらにそれがサマになるっていうか、さすがに怖いから。
さては、私に嫉妬してるんだな?
佐伯先輩が私とばっかり喋っているから。
現にほら、佐伯先輩の方に視線をちらちらと泳がせているし。
いいでしょって意味を込めて、慶ちゃん先輩ににやりと笑みを返す私は、相当性格悪い。
だけど、それは相手が慶ちゃん先輩だからできることなんだけどね。
慶ちゃん先輩はそんな私に、「ムカつく顔してんじゃねえ!」なんて罵声を飛ばしてきたから、おあいこってことで。
佐伯先輩はその時、何とも言えないような表情で私たちのやり取りを見ていた。
そんなふうに話をしていると、すぐに電車は目的地に着いてしまった。
慶ちゃん先輩とばっかり話してたから(ほぼ口喧嘩のような言い合いだったけど)、佐伯先輩ともっと話したかったなあ。
まあ、でも、メールしていいって言われたからね!
一歩先輩に近づけた気がする。
ルンルン気分で電車を降りた私を見つめる2人がどんな顔をして、何を話してたかなんて、先に降りた私は知るはずもない。



