体育館12:25~私のみる景色~


「どうしたの?」


「別に何でもねえよ」


 私、睨まれるようなことしたかな?


 というか、何でもないなら睨まないでほしい。


 かっこいい顔立ちしてるから、鋭い目つきだとさらにそれがサマになるっていうか、さすがに怖いから。


 さては、私に嫉妬してるんだな?


 佐伯先輩が私とばっかり喋っているから。


 現にほら、佐伯先輩の方に視線をちらちらと泳がせているし。


 いいでしょって意味を込めて、慶ちゃん先輩ににやりと笑みを返す私は、相当性格悪い。


 だけど、それは相手が慶ちゃん先輩だからできることなんだけどね。


 慶ちゃん先輩はそんな私に、「ムカつく顔してんじゃねえ!」なんて罵声を飛ばしてきたから、おあいこってことで。


 佐伯先輩はその時、何とも言えないような表情で私たちのやり取りを見ていた。


 そんなふうに話をしていると、すぐに電車は目的地に着いてしまった。


 慶ちゃん先輩とばっかり話してたから(ほぼ口喧嘩のような言い合いだったけど)、佐伯先輩ともっと話したかったなあ。


 まあ、でも、メールしていいって言われたからね!


 一歩先輩に近づけた気がする。


 ルンルン気分で電車を降りた私を見つめる2人がどんな顔をして、何を話してたかなんて、先に降りた私は知るはずもない。