体育館12:25~私のみる景色~


「あのですね、こんなこといきなり言うのは申し訳ないんですけど……」


『だから、なんだよ。早く言え』


 イライラしたような言葉に急かされるけど、こんなふうに仲良くしてくれてる人に突き放すようなことを言うのは気が引けちゃって、なかなか言い出せない。


『……なんかあったのか?』


 ため息を吐き出しそうになったと同時に電話の向こうから聞こえたのは、心配そうで不安げな揺れた声だった。


 一度大きく息を吸って、話し出す準備。


「あのね、慶ちゃん先輩。学校でよく声かけてくれるでしょ? それで、ちょっとワケありっていうか……。学校で話しかけるの、しばらくやめてもらってもいいかな……?」


 向こうからは、何も聞こえてこない。


 やっぱり気分悪くしちゃった?


 怒ったのかな。


「慶ちゃん先輩のことが嫌いとかじゃないよっ? だけど、慶ちゃん先輩って、何気に人気あってモテてるから。それで、最近周りの人にちょっといろいろ言われちゃってさあ! それで、それで……っ」


『……俺のことが嫌いとかじゃねえんだよな?』


 傷つけないように、誤解されないように、学校で話しかけてほしくない理由をべらべらと話そうとすると、続けようとした言葉は慶ちゃん先輩に遮られた。


「嫌いになんてなるわけないよ! 私は慶ちゃん先輩のこと、好きだよっ」