体育館12:25~私のみる景色~


「せ、先輩たちとは、何の関係もないです。体育祭で、お世話になりましたけどっ」


 やっとの思いで発した言葉は、自分でもびっくりするくらい震えていた。


 それに対して、サエさんは眉間にしわを寄せて私をきつく睨んだ。


「それにしても、仲良すぎなんじゃないの? ほんとさあ、やめてくんないかなあ? 慶と恭也にもう関わらないでくれる? つーか、関わんなよ。関わったら痛い目見るよ?」


 低い声で言うサエさんに、うなずきそうになる、けど……。


「い、いやです」


 口をついて出たのは、拒否を表す言葉だった。


 “わかりました、関わりません”、そう言えば丸く収まるのかもしれない。


 だけど、なんでそんなことをサエさんに指図されなきゃいけないのか。


 ミナミ先輩から忠告もされてたし、サエさんに関する良くない噂だって聞いたし、逆らうのが怖くないと言えば嘘になる。


 だけど、もう1年半、佐伯先輩に片思いしてるんだよ。


 頑張るって決めたんだよ。


 ひょんなことから近づけるきっかけができて、最近では少しは仲良くなれているのかなって思ってたんだよ。


 それに、佐伯先輩は春にいなくなっちゃう。


 卒業しちゃうんだよ。


 サエさんの言う痛い目、っていうのがなんなのかはわからないけど、そんな個人的な感情に左右されて、これから佐伯先輩との関わりが何もなくなっちゃうのは嫌だよ。