体育館12:25~私のみる景色~


 しばらく待ってみても、誰も現れる気配がない。


 冷たい風がスカートの裾を揺らした。


 もう11月の中盤にさしかかって、ずいぶんと寒くなった。


 外だって暗いし。


 涼には先に帰っていいよって言っちゃったから、帰りは一人だし。


 やっぱりサエさんのこと、凉たちに話しておくべきだったかな……。


「お待たせ、宮下ちゃん」


 冷たくなった手をこすり合わせていると、ここに呼び出した本人がやっと来た。


「あれ……?」


 サエさん一人?


 よくこういう場面って、大勢で一人を囲むっていうシチュエーションだよね?


 もしかして、茂みに隠れてるとか?


「宮下ちゃん、ほかには誰もいないよ」


 周りをきょろきょろと見回す私の考えが読めたのか、サエさんはくすくすと笑い声をもらした。