この雰囲気ではさすがに佐伯先輩に謝れないよなあ。
とりあえず、私だって気づいてくれないかな?
自分でカミングアウトするのも恥ずかしいし。
不安になって佐伯先輩と慶ちゃん先輩の顔を交互にちらちら見た。
気のせいかな、慶ちゃん先輩の顔がだんだん赤くなっていってるような……?
佐伯先輩は微動だにしないで、ぼーっと立ってるし。
「ほら、もう気づいてんでしょ? 亜希ちゃんだよーっ」
「ちなみに俺もいますから」
やっとネタバラシ?
ついでと言った感じで、今まで気配を消していたみーくんもひょっこりと顔を出した。
「あはは、先輩たち、昨日ぶりですね?」
なんとなく気まずいし、手持ち無沙汰で髪を耳にかけながらそう言うと、慶ちゃん先輩が口と鼻をすごい勢いで覆った。
「ちょっ、タンマ! 俺これマジでムリ。ちょいあっち行ってる……」
「ええっ!? 慶ちゃ……じゃなくて、中原先輩っ!?」
「あはは、お大事に~」
そんな具合悪くさせるほど破壊的かな?
確かにこの衣装とかすごいし似合ってないと思うけど、そこまで?
ちょっとショックなんだけど。
ふらふらと離れていく慶ちゃん先輩に、ミナミ先輩とみーくんはケラケラと笑いながら手を振っている。
「さぁて、まだサエ来てないし始まるまで15分くらいあるから、七種! うちらもちょっとあっち行って中原の様子見てこよ?」
「あー……ハイ」
えっ、ちょっと待って!
行っちゃうの?
これは期せずして、佐伯先輩と話す時間できたってこと?
そんなことを思っているうちにミナミ先輩はみーくんを連れて、慶ちゃん先輩の方へ歩いていった。
ひとつ、ウィンクを残して。



