体育館12:25~私のみる景色~


 この雰囲気ではさすがに佐伯先輩に謝れないよなあ。


 とりあえず、私だって気づいてくれないかな?


 自分でカミングアウトするのも恥ずかしいし。


 不安になって佐伯先輩と慶ちゃん先輩の顔を交互にちらちら見た。


 気のせいかな、慶ちゃん先輩の顔がだんだん赤くなっていってるような……?


 佐伯先輩は微動だにしないで、ぼーっと立ってるし。


「ほら、もう気づいてんでしょ? 亜希ちゃんだよーっ」


「ちなみに俺もいますから」


 やっとネタバラシ?


 ついでと言った感じで、今まで気配を消していたみーくんもひょっこりと顔を出した。


「あはは、先輩たち、昨日ぶりですね?」


 なんとなく気まずいし、手持ち無沙汰で髪を耳にかけながらそう言うと、慶ちゃん先輩が口と鼻をすごい勢いで覆った。


「ちょっ、タンマ! 俺これマジでムリ。ちょいあっち行ってる……」


「ええっ!? 慶ちゃ……じゃなくて、中原先輩っ!?」


「あはは、お大事に~」


 そんな具合悪くさせるほど破壊的かな?


 確かにこの衣装とかすごいし似合ってないと思うけど、そこまで?


 ちょっとショックなんだけど。


 ふらふらと離れていく慶ちゃん先輩に、ミナミ先輩とみーくんはケラケラと笑いながら手を振っている。


「さぁて、まだサエ来てないし始まるまで15分くらいあるから、七種! うちらもちょっとあっち行って中原の様子見てこよ?」


「あー……ハイ」


 えっ、ちょっと待って!


 行っちゃうの?


 これは期せずして、佐伯先輩と話す時間できたってこと?


 そんなことを思っているうちにミナミ先輩はみーくんを連れて、慶ちゃん先輩の方へ歩いていった。


 ひとつ、ウィンクを残して。