体育館12:25~私のみる景色~


 凉にさらしを解いてもらって、やっと制服に着替えることができた。


 そろそろ私も限界なのかもしれないな。


 小さな幸せで満足できなくなっている。


 もっともっとって、貪欲になっている気がする。


 期待しないなんて嘘。


 見ているだけでいいなんて、大嘘だ。


 心に触れたくて、その体温やふわりとした香りに包まれたいとも思う。


 そして、私は佐伯先輩の彼女になりたい。


 佐伯先輩の特別な人になりたい。


 私だけを見てほしい。


 彼女になれなくても、気持ちだけは知ってほしい。


 私が誰より先輩を好きなこと。


 毎日欠かさずお昼休みにバスケを見ている理由も。


 全部、知ってほしい。


 けじめをつけなきゃいけない時が、迫ってきているのかもしれないね。


「そうだ、亜希。今さら言うのも気が引けるけど、あんたを運んでくれたのは……」


 そんな思いを胸に秘めている私に、凉の声は聞こえてこなかった。