凉にさらしを解いてもらって、やっと制服に着替えることができた。
そろそろ私も限界なのかもしれないな。
小さな幸せで満足できなくなっている。
もっともっとって、貪欲になっている気がする。
期待しないなんて嘘。
見ているだけでいいなんて、大嘘だ。
心に触れたくて、その体温やふわりとした香りに包まれたいとも思う。
そして、私は佐伯先輩の彼女になりたい。
佐伯先輩の特別な人になりたい。
私だけを見てほしい。
彼女になれなくても、気持ちだけは知ってほしい。
私が誰より先輩を好きなこと。
毎日欠かさずお昼休みにバスケを見ている理由も。
全部、知ってほしい。
けじめをつけなきゃいけない時が、迫ってきているのかもしれないね。
「そうだ、亜希。今さら言うのも気が引けるけど、あんたを運んでくれたのは……」
そんな思いを胸に秘めている私に、凉の声は聞こえてこなかった。



