体育館12:25~私のみる景色~


 凉にもいやな態度をとっちゃったね。


 最悪だね、私って。


 こんなにドロドロとした感情になるのは初めてで、かなり戸惑う。


「凉、ごめんね? あんな態度とって。あはは、私、完璧に佐伯先輩に嫌われちゃったなあ……っ」


「亜希……」


 悲しいのに、笑えてきちゃう。


 苦しくて、堰を切ったように涙がどんどん溢れてきた。


「うぅっ、いやな態度とってごめんねぇ? 涼が羨ましかっただけなの……っ」


 そう、羨ましかったんだ。


 妬んだだけ。


 私もあんなふうに佐伯先輩と話せたらよかったのに。


 凉は私のことを応援してくれてるって、ちゃんとわかってるのに。


 お似合いの素敵なカップルのじゃれ合いに見えて、私なんかじゃ到底適いっこないって思ったんだ。


 だって凉は優しくて、頼りになって、私が信頼している1番の友達なんだから。


「亜希、ごめんね? 信じられないかもだけど、佐伯先輩とは何もないよ。ただ、ちょっと秘密を握っただけなの」


「秘密……?」


「そう。でもこれは、誰にも言わないって約束したから言えない。亜希が気にすることは何もないよ」


「うん……」


 信じる、信じるよ。


 でもね、2人だけの秘密を持っている凉がやっぱり羨ましいな。