体育館12:25~私のみる景色~


「佐伯先輩……?」


 微動だにしない先輩に、不安になる。


 先輩の目の前で手をひらひらと振ってみようとしたとき。


 その手をとられて、今度こそ佐伯先輩自身にベッドに縫いつけられた。


 何が起きたの?


 私、佐伯先輩におめでとうって言っただけなのに。


 目の前にいる佐伯先輩は、唇を引き結んで少しこわい顔をしている。


「あのさ……、そういう顔ってほかのヤツの前でもしてるの?」


「え?」


 そういう顔って言われても、自分がどんな顔してるのかなんてわからないよ……。


「たとえば、慶とか、あの幼なじみとかに。どうなの?」


 ちょっと佐伯先輩が何を言ってるのか解読不能。


 答えに困っちゃうよ。


「……ないか。もししてたとしたら、とっくに食われてるだろうし。でも、慶は逆に……」


 佐伯先輩が上でぶつぶつと何か言ってるけど、自分の心臓の鼓動が邪魔をしてよく聞き取れない。