「佐伯先輩……?」
微動だにしない先輩に、不安になる。
先輩の目の前で手をひらひらと振ってみようとしたとき。
その手をとられて、今度こそ佐伯先輩自身にベッドに縫いつけられた。
何が起きたの?
私、佐伯先輩におめでとうって言っただけなのに。
目の前にいる佐伯先輩は、唇を引き結んで少しこわい顔をしている。
「あのさ……、そういう顔ってほかのヤツの前でもしてるの?」
「え?」
そういう顔って言われても、自分がどんな顔してるのかなんてわからないよ……。
「たとえば、慶とか、あの幼なじみとかに。どうなの?」
ちょっと佐伯先輩が何を言ってるのか解読不能。
答えに困っちゃうよ。
「……ないか。もししてたとしたら、とっくに食われてるだろうし。でも、慶は逆に……」
佐伯先輩が上でぶつぶつと何か言ってるけど、自分の心臓の鼓動が邪魔をしてよく聞き取れない。



