体育館12:25~私のみる景色~


 ーーーふわふわ、身体が優しくて、それでいてたくましい何かに包まれている気がする。


 だめだ、まぶたが重くて、これが何なのかわからない。


 規則的なリズムで身体が揺れる。


 心地よくて、いい匂いもする。


 離れたくないな、もう少しこのままでいてほしい。


 それなのに、いつのまにか身体を離されて、感じていた温もりも、私の好きなこの香りも、遠ざかっていく。


 ……行かないで。


 もう少しだけ、もう少しだけでいいから。


 何も見えない真っ暗な闇の中で手を伸ばす。


 その時、伸ばした手に何かが触れて、迷わずそれをぎゅっとたぐり寄せるように掴んだ。


 ほんのりと温かくて、なんだか落ち着く。


 よかった、もう少しだけここにいてね?


 私が安心に包み込まれて再び真っ黒な世界に落ちようとしたとき。


 ふっと目の前がさらに暗く陰って、ふわりと漂う甘くて爽やかな香りがぐんと近づいたように感じた。


 顔に、柔らかい感触がしたのを最後に、私は意識を手放した。