佐伯先輩とすれ違うその一瞬。
「大丈夫」
「え……」
目が合って、すれ違いざまにそんな声が聞こえた。
振り返って、佐伯先輩のことを見たかったけれど、今は集中しなくちゃっ。
ジャンッという、私たちが飛ぶ音楽が聞こえて、ミナミ先輩とタイミングを合わせて演技をした。
ハンドスプリング、ロンダート、バク転。
そして最後、たった1か月の練習で身につけた宙返り。
身体が宙を舞った瞬間、周りから大きな歓声が聞こえて、着地したときにミナミ先輩と目が合った。
やった、うまくいったんだ……!
ミナミ先輩と一度頷き合ってから、後ろを向いてみーくんの方へと走った。



