あの時からそんなに時間も経ってないはずなのに、ずいぶん前のことのように感じる。
佐伯先輩が手当てしてくれた怪我も今はすっかり癒えて、傷跡ひとつ残ってない。
まるで、何もなかったみたいに。
佐伯先輩が貼ってくれたガーゼを取り替えるのに、何度ためらっただろうなあ。
もったいなくて、なかなか剥がす勇気が出なかったんだよ。
傷がなくなっていくのを見て、何度寂しく思ったんだろう。
優しく触れられたことを、忘れられない。
そういえば、佐伯先輩のハンカチ、私が洗って返すべきだったよなあ。
今頃そんなことを思うなんて、本当に私ってバカだなあ……。
濡れたハンカチを見て、そんなことを思い出した。



