体育館12:25~私のみる景色~


 あの時からそんなに時間も経ってないはずなのに、ずいぶん前のことのように感じる。


 佐伯先輩が手当てしてくれた怪我も今はすっかり癒えて、傷跡ひとつ残ってない。


 まるで、何もなかったみたいに。


 佐伯先輩が貼ってくれたガーゼを取り替えるのに、何度ためらっただろうなあ。


 もったいなくて、なかなか剥がす勇気が出なかったんだよ。


 傷がなくなっていくのを見て、何度寂しく思ったんだろう。


 優しく触れられたことを、忘れられない。


 そういえば、佐伯先輩のハンカチ、私が洗って返すべきだったよなあ。


 今頃そんなことを思うなんて、本当に私ってバカだなあ……。


 濡れたハンカチを見て、そんなことを思い出した。