体育館12:25~私のみる景色~


 泣き続けて、何があったのかも話そうとしないこんな私なのに、涼たちは心配して頭や背中をなでてくれる。


 本当に、優しすぎるよね。


「みんなありがと。ちょっとトイレ行ってくるね!」


 慰められて、少し元気が出た。


 涙も止まってきた。


 それに教室で泣くのも目立つし、まぶたも冷やしたいしね。


 トイレに落としたらイヤだから、ポケットに入れておいたケータイを机の上に置いて、まだ心配そうに私を見る涼たちに笑って手を振ってから、教室を出た。


 トイレにある鏡をのぞき込むと、やっぱり両目が腫れていた。


 赤く充血して、明らかに泣いてたってわかるような顔。


 黒猫がプリントされた、ピンク色のお気に入りのハンカチを取り出して、水に浸した。


 ……そういえば、私がこけた時、あざを佐伯先輩がハンカチで冷やしてくれて、傷の汚れを落としてくれたんだよね。