体育館12:25~私のみる景色~


 もうほとんどカラになっている私の手元のお弁当箱を見て、みーくんは申し訳なさそうな顔をした。


 な、なんて説明しようかな……?


 佐伯先輩を見に行くなんて言えないし。


 言ったら好きだってこともバレちゃいそうだし。


 幼なじみなんだから、言ってしまえばいろんなこと相談できるかもしれないけど、まだ心の準備できてないよっ。


「亜希はねぇ~、バスケ見に行くんだよ~?」


「……バスケというより、あのいけ好かない男を見に行っているんだがな」


「そうそう!」


 ……ちょっと、ちょっと待ってよ。


 なんでそれ言っちゃうかなあ?


 私が佐伯先輩のことを本気で好きなのを知ってるのは、今のところ涼たち3人と、ひょんなことからバレちゃった慶ちゃん先輩だけなのに。


 心の準備をしてなかったから、なんだかすごく恥ずかしいんだけどっ!


「……へえ? やっぱりそうなんだ。ありがとう、亜希もご飯食べ終わったみたいだし、ちょっと借りていくね?」


 にーっこりとあからさまな作り笑顔を浮かべたみーくんは、私の手を引いて教室を出た。


 そんなみーくんの笑顔に、涼と千夏はぽーっとみとれてたみたいだったけど。


 ぴしゃりと閉まったドアの向こうからは、たくさんの悲鳴のような声が聞こえてきた。


 わかりやすいくらいの偽物の笑顔なのに、 か千夏、クラスの女の子を騙しちゃうなんてすごいかも。


 見た目が爽やかで害もなさそうだから、きっとみんな信用しきってるんだろうなあ。


 純子はイヤそうな目で見てたけど。