もうほとんどカラになっている私の手元のお弁当箱を見て、みーくんは申し訳なさそうな顔をした。
な、なんて説明しようかな……?
佐伯先輩を見に行くなんて言えないし。
言ったら好きだってこともバレちゃいそうだし。
幼なじみなんだから、言ってしまえばいろんなこと相談できるかもしれないけど、まだ心の準備できてないよっ。
「亜希はねぇ~、バスケ見に行くんだよ~?」
「……バスケというより、あのいけ好かない男を見に行っているんだがな」
「そうそう!」
……ちょっと、ちょっと待ってよ。
なんでそれ言っちゃうかなあ?
私が佐伯先輩のことを本気で好きなのを知ってるのは、今のところ涼たち3人と、ひょんなことからバレちゃった慶ちゃん先輩だけなのに。
心の準備をしてなかったから、なんだかすごく恥ずかしいんだけどっ!
「……へえ? やっぱりそうなんだ。ありがとう、亜希もご飯食べ終わったみたいだし、ちょっと借りていくね?」
にーっこりとあからさまな作り笑顔を浮かべたみーくんは、私の手を引いて教室を出た。
そんなみーくんの笑顔に、涼と千夏はぽーっとみとれてたみたいだったけど。
ぴしゃりと閉まったドアの向こうからは、たくさんの悲鳴のような声が聞こえてきた。
わかりやすいくらいの偽物の笑顔なのに、 か千夏、クラスの女の子を騙しちゃうなんてすごいかも。
見た目が爽やかで害もなさそうだから、きっとみんな信用しきってるんだろうなあ。
純子はイヤそうな目で見てたけど。



