もはやみーくんはアイドル的な存在だ。


 帰国子女だし、対応は大人だし、人当たりもよくて。


 それに佐伯先輩や慶ちゃん先輩に劣らないくらい、ルックスは整ってる。


 ……ちょっと腹黒いところもあるんだけどね。


 そんなみーくんの隣りの席になりたい女の子たちが騒ぎまくってて、さすがのみーくんもちょっと困った顔してるよ。


 おーい、女子のみなさん、みーくんこまってますよー。


 なんて言って助けてあげられればいいんだけど、あいにく私にはそんな度胸も勇気もないんだよね。


 もうすぐ授業始まっちゃうんだけど、なんとかならないものか。


 涼と千夏も、ちゃっかりその争奪戦に参加しちゃってるし。


 純子は興味なさそうだけど。


「あー、みんなごめんね。俺、林先生に席は亜希の隣りって言われてるから」


 本当に申し訳なさそうに言うと、女の子の悲鳴と男の子のびっくりしたような叫びで、教室が満たされた。


 う、目立つの嫌いなのに。


 みんなの視線が一気に突き刺さってイタい。


 特に、涼と千夏の視線がコワい。