「え、でもこれ俺が落として傷めちゃったし、長く咲かないかもしれないよ」
申しわけなさそうに、佐伯先輩が呟いた。
そうだそうだ、佐伯先輩もいたんだった!
あ、ピンクのエプロンやっぱり似合ってる。
慶ちゃん先輩よりはるかにマッチしてる。
お花はかわいそうだけど、そんな顔をしなくても手入れすれば大丈夫なんじゃないかな?
「大丈夫ですよ? ねえ、慶ちゃん先輩、このお花はなんていうお花なのかな?」
家業継ぐっていうくらいだから、お花にも詳しいだろうなって思って聞いたのに、苦い顔をして明後日の方を向かれた。
なるほど、まだお花についてはお勉強中なのかな?
「ゼラニウムだよ、それ」
「え?」
見かねた佐伯先輩が、そう答えてくれた。
花の名前、知ってるんだ。



