体育館12:25~私のみる景色~


「あっ、先輩! ハンカチ汚れちゃいますっ」


 うっすらと滲んでいた血を優しくふき取られ、ブルーのハンカチが濁った。


「気にするな。冷たいから、気持ちいいでしょ?」


 確かに、気持ちいい。


 部屋が暑いからってのもあるんだけど、打ち身になったところが熱を持ってたから、余計に冷たくひんやりと感じる。


 こくりとうなづくと「でしょ?」と微笑みかけられた。


 私より低い位置にいる佐伯先輩は自然と上目遣いになっていて、なんだかすごく可愛く見える。


 心臓がトクトクと音を奏でてる。


 いつもよりちょっと早い心音に妙な安心感を覚えて、そのまま身をゆだねた。


「……宮下さん、俺が何しても驚かないでね?」


 ハンカチもぬるくなってきたころ、突然の佐伯先輩の声に意識を戻した。


 あれ、先輩なんて言ったんだろう?


 意識が半分どこかに飛んで行ってたから、よく聞いてなかった。


「あー、はい?」


 一応、返事はしてみた。


 疑問系だけど。