「あっ、先輩! ハンカチ汚れちゃいますっ」
うっすらと滲んでいた血を優しくふき取られ、ブルーのハンカチが濁った。
「気にするな。冷たいから、気持ちいいでしょ?」
確かに、気持ちいい。
部屋が暑いからってのもあるんだけど、打ち身になったところが熱を持ってたから、余計に冷たくひんやりと感じる。
こくりとうなづくと「でしょ?」と微笑みかけられた。
私より低い位置にいる佐伯先輩は自然と上目遣いになっていて、なんだかすごく可愛く見える。
心臓がトクトクと音を奏でてる。
いつもよりちょっと早い心音に妙な安心感を覚えて、そのまま身をゆだねた。
「……宮下さん、俺が何しても驚かないでね?」
ハンカチもぬるくなってきたころ、突然の佐伯先輩の声に意識を戻した。
あれ、先輩なんて言ったんだろう?
意識が半分どこかに飛んで行ってたから、よく聞いてなかった。
「あー、はい?」
一応、返事はしてみた。
疑問系だけど。



