佐伯先輩は救急箱の中をゴソゴソとあさってる。
私はひざの上で手をきつく握り締めて、そわそわしながらただじっと待ってるだけ。
おとなしくしてろ、なんて言われたわけだし。
佐伯先輩を見つめるのもなんだかあからさますぎるかなって思ったから、とりあえずそのへんに視線をうろつかせていた。
「あー、消毒液切れてる。三島先生、補充してないな」
なんて声が聞こえてそっちを見てみると、佐伯先輩が消毒液の容器を振って中身がないことを確認してた。
眉間にシワ寄ってる……。
「消毒、別にしなくても大丈夫ですよ? ほら、そんなにひどい怪我じゃないですしっ」
転んだ直後は痛くてどうしようもなかったけど、実は今はそうでもないんだよね。
そりゃあ、ひざにはうっすら血がにじんでるけど、もう固まってるし。
私がそう言うと、佐伯先輩はため息を吐いて、呆れたように私を見た。
この表情、よく見るなあ……。
「宮下さん、女の子なんだから。傷残ったらだめでしょ」
「…………っ!!」



