体育館12:25~私のみる景色~


 きゅ、救急箱?


 なぜに救急箱?


 私が怪我してるから持ってきてくれたんだろうけど。


 保健室くらい自分で行けるから、わざわざ持ってきてくれなくてもよかったのに!


 迷惑かけちゃって、なんだかすごく申し訳ないんだけれどもっ。


「なんかほんとすみませんっ。自分で行けたのに、取りに行かせちゃったみたいで……」


 ワタワタと慌てて立ち上がる私に「はいはい、いいから亜希は座ってろ」なんて肩を押さえつけられながら慶ちゃん先輩に言われて、半強制的に椅子に戻された。


 そのまま慶ちゃん先輩は私の近くにあった椅子をひいて、ふんぞり返るようにして座った。


 すっごく偉そうなのにサマになってるのが、なんだかにくらしい。


「宮下さん、ひざ見せて?」


 ちろっと横目で慶ちゃん先輩を睨んでる間に、いつの間にか佐伯先輩が近くに来ていたみたい。


 慌てて声の方に視線を向けると、私の足元にひざまずいている佐伯先輩がいた。


 片膝を立てて上目遣いで私を見る姿は、本物の王子様みたい。


 爽やかなシトラスの香りがふわっと鼻をくすぐって、なんだかクラっとする。