「でさ~、1組の飯田がね……」


 と、私が言いかけたのと同時に、教室のドアが勢いよく開いた。


 喋るのに夢中になってたから、足音も全然聞こえなかった。


 いきなりのことに私たちは驚いて、お互いに黙ってドアの方を見た。


「あ? ここ、2年1組の教室だよな?」


 どこか聞き覚えのある声がして、その人の顔を見て驚いた。


 だって、その人は、中原先輩だったから。


「ちょ、なんで中原先輩!? 亜希、先輩何か言ってるよ!? 答えてあげなよ!!」


 小さい声で焦ったように私にそう促す涼は、昼休みの時の私以上にパニクってるみたいで少し笑えた。


 そんな涼を見て、なんだか余裕がうまれてきちゃったわけで。


「あ、ハイ、そうですけケド……。中原先輩、何かご用デスカ?」


 なんて、ちょっとカタコトだったけど、言葉を発することができた。