体育館12:25~私のみる景色~


 待って、もしかしてこの腕は佐伯先輩の……?


 そう気がついた瞬間に、湯気が出ちゃうんじゃないかってくらい顔が熱くなって、慌てて佐伯先輩から離れた。


「話したいことあるんだけど、時間いい?」


 茹でタコみたいになってるだろう私にお構いなく、佐伯先輩はそう言った。


 佐伯先輩相手に『イヤ』なんて言えるはずもなく。


「ハイ……」


 私はなるべく顔が見えないようにうつむいて、返事をした。


 そう言って、駅までの道を2人で歩き始めたんだけど。


 とりあえず、お互いに無言。


 私は佐伯先輩の少し後ろを歩いてるんだけど。


 時間いいって聞いてきたからには、私に何か言いたいことがあるんじゃないかって思ったのに。


 一言も話さないうちに、駅に着いてしまった。