長い間、佐伯先輩だけを見てきた。
それも、体育館で楽しそうにバスケをする先輩のことを。
それを、今までずっと見ていた。
慶ちゃん先輩との白熱した試合を見て、大会にかける思いが本気なことも知っていたから。
だからこそ、余計に悲しくて苦しい。
……先輩のことを思うと、どんどん涙が出てくる。
それに、気づいちゃったんだ。
言えなかった“頑張って”の一言。
もう、これを言える日は来ないんだってことに。
今更気がついて、余計に涙が溢れてくる。
嗚咽をもらして机に水たまりを作り続ける私を、涼はぎゅっと優しく抱きしめてくれた。



