ぞろぞろとみんなが教室に戻る中、私はまだギャラリーにいる。


 定位置とは離れた、体育館から見上げても見えない、死角にいる。


 この場所からコートを見渡すことができても、コートからは見えないんだよね。


 これは、抜け駆けするためとかじゃなくって、ただ先輩を見る時間を1秒でものばしたいから。


 学年も違うし、関わる機会もなければ話す勇気すらない。


 せめて誰よりも長く見ていたいなって思って。


 それなら堂々と見ればいいって思われるかもしれないけど、なんとなく、自分の存在を知られるのを恥ずかしいんだ。


 私がもっと可愛かったら、そうできるのかもしれないけど。


 先輩に私っていう存在を気づかせるチャンスだとも思うけど。